地中連続壁工法とは
概要
Point 01地中連続壁とは
地中連続壁には多くの種類があります。この中でRC連壁工法は一般に「連壁」や「地中連続壁工法」と称されます。
RC連壁工法は厳しい施工環境・幅広い地質条件に対応でき、他の工法に比べ高剛性・高品質が可能な工法です。
RC連璧工法は、大深度・大断面・高品質という特徴を生かし、巨大な建築構造物を支える基礁として、また、撮削深度が50mを超えるような地下タンクや地下駅の土留め・止水壁として利用されています。さらに、低空頭・狭陰地など非常に厳しい条件下での工事や、あらゆる地盤に対応可能な工法として、さまざまな条件の地下橋造物に利用されています。
Point 02特徴
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01大深度
- 掘削機の最大能力→170mまで掘削可能
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02大断面
- 掘削機の最大能力→壁厚3.2mまで掘削可能
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03低騒音・低振動
- 直接打ち込む鋼矢板や錆笞矢板に比べ、振動・騒音が低い
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04周辺への影響が小さく近接施工に有利
- 剛性が高いため土留めの変形を抑制→近接施工に有利
- 地盤密活性に優れている
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05あらゆる地盤への適用が可能
- 地盤に適した掘削機を選定
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06剛性が高く軸圧縮力に強い
- 抵抗モーメントが大きい→大深度掘削が可能
- 軸庄縮力に強い→円筒構造が有利
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07遮水性能が高い
- 本体利用が可能
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08本体利用が可能
- 地下外壁・基礎杭として利用可能
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09精度が高い
- 掘削機に精度計測装置と修正装置を装備
- 安定液を用いて掘削する→掘削精度の確認ができる
Point 03適用例
- 地下外壁
- 基礎杭
- 基礎杭
- 遮水壁
- 大深度土留壁・止水壁
- 地下外壁
Point 04用途 掘削機の選定
バケット式掘削機
バケット式掘削機は、クラムシェルバケットで地山の土砂を直接つかみ出し、プラント設備は回転式に比べ小規模になります。大きな玉石などを掴み取ることが可能です。
回転式掘削機
回転式掘削機は、カッターを回転して土砂を切削し、その土砂をポンプで安定液と共に排土します。切削能力が高く、硬質地盤に適しあらゆる地盤への適応が可能で、大深度・大断面の大規模RC連続壁から、都市部の狭隘地にいたるまで幅広い施工条件に対応出来ます。プラント設備はバケット式に比べ大きくなります。
Point 05施工フロー
エレメント間継手の種類は以下の3タイプとなります。
- ●剛結継手:接合鋼板水平重ね継手etc
- ●ヒンジ継手:接合鋼板継手
- ●フリー継手:接合鋼板継手、コンクリートカッティング継手etc
以下の施工フローは剛結継手(例)になります。
施工例
耐震壁・地下外壁
地中連続壁を、仮設だけでなく、耐震壁に利用したいという要望は、この工法の導入直後からあった。
耐震壁に利用する場合、地下壁は地震時ビル上層部の揺れによる壁にかかる面内せん断力に耐えなければならない。
施工法に見る通り、地中連続壁は縦方向の施工継手があり壁相互のせん断力の伝達はできないが、継手に構造継手を用いることにより、これが可能となった。
建築構造物の耐震壁に用いる場合、(財)日本建築センターの性能評価を必要としている。地中連続壁を本体壁として使うが、耐震壁は後施工とする方法もあり、多く使われている。この場合も性能評価は必要となっている。
ホテルニューオータニ・ガーデンコート
工事概要
工事場所 | 東京都 |
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連壁用途 | 山留壁・地下外壁・耐震壁 |
施工概要
壁厚 | 0.7mm |
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深度 | 24.5m |
施工面積 | 1,100mm2 |
常和新横浜ビル
工事概要
工事場所 | 神奈川県 |
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連壁用途 | 山留壁・地下外壁・耐震壁 |
施工概要
壁厚 | 1.0mm |
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深度 | 30.0~41.0mm |
施工面積 | 7,300mm2 |
基礎・杭
地中連続壁の施工法は、基本的に場所打ち杭と同様であり、杭基礎としての利用は必然であった。
場所打ち杭が基本的に円形であるのにくらべ、地中連続壁は 任意の平面形状が可能である。
また、構造継手を用いれば、非常に剛性の高い基礎を形成できるので、大型構造物(超高層ビル、タワー、橋脚など)の基礎としての利用が増えている。
特殊な事例としては、場所打ち杭を支持杭として、地中連続壁でこの杭を連結する構造として剛性を高めた基礎の事例もある。
ザ・シーン城北高層ビル
工事概要
工事場所 | 愛知県 |
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連壁用途 | 建物基礎 |
形状 | 楕円 |
施工概要
壁厚 | 1.5mm |
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深度 | 21m |
川崎航路トンネル立坑基礎
工事概要
工事場所 | 神奈川県 |
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連壁用途 | 橋脚基礎 |
施工概要
壁厚 | 2.0mm |
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深度 | 76.521m |
施工面積 | 17,200mm2 |
円形立坑・地下タンク
地中連続壁は、それまでの土留め壁と違って厚さをもったコンクリートの壁を地中に築造できることに着目し、これを円形とし、地下タンクや大規模構造物の基礎を作ることが提案され、大規模なLNGタンクや、大深度構造物に利用されるようになった。
地下構造物を作る際は掘削にともない土留め壁の変形を防ぐため、土留め支保工(切梁やアースアンカー)が必要とされるが、円形地中連続壁は土圧及び地下水圧を壁の円周方向にかかる圧縮力に対する圧縮耐力(アーチアクション)のみで支えることができるため、土留め支保工は必要がなく、掘削工程・地下構造物構築工程の短縮及び施工の安全に大いに効果があり、近年の大規模地下構造物には標準的に採用されている。
もちろん、この円形地中連続壁そのものを、大深度基礎に用いることも可能である。
東扇島LNG地下タンク
工事概要
工事場所 | 神奈川県 |
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形状 | 円形(円筒形) |
施工概要
壁厚 | 1.2mm |
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深度 | 82.5~88m |
施工面積 | 89,000m2 |
LNG(液化天然ガス)は、クリーンなエネルギーとして電力ガスの主要な原料として大量に輸入され主に海岸近くの埋立地に地下LNG基地として建設された。
LNGは極低温(-161度程度)であり、この貯蔵は地下が好ましく地下タンクが要求された。地中連続壁の深さは100mを超えるものある。
東京湾横断道路換気立坑
工事概要
工事場所 | 東京湾 |
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連壁用途 | シールド立坑/基礎 |
施工概要
壁厚 | 2.8mm |
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深度 | 120m |
施工面積 | 18,400m2 |
東京湾横断道路(東京湾アクアライン)の換気塔として風の塔の立坑。
川崎沖合5kmに人工島をつくり、円形の地中連続壁を(直径約100m 地中連続壁深さ約120m 壁厚2.8m)作り、立坑深さ約70mを掘削し、シールドの発進立坑とし、そののち、換気塔基礎(風の塔)となってアクアラインの重要施設とて活躍している。
この工事のセット(円筒立坑と大断面シールド)は、大規模地下貯留槽・放水路や地下高速道路・地下鉄などに多く採用されている。
土留め止水壁
地中連続壁のもっとも一般的な用途といえる。
しかし、あまり深くない掘削の場合で仮設土留めが必要な場合、鉄筋コンクリートではなく、現地発生土を用いたソイルセメントを用いて、芯材としてH型鋼材などをいれたCRM工法や、SMW工法などが利用されることが多くなって来ているが、大深度掘削の場合はRC連壁が採用されるのが一般的である。
丸の内野村ビル
工事概要
工事場所 | 東京都 |
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形状 | 止水壁・山留壁 |
施工概要
壁厚 | 0.8mm |
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深度 | 38.6m |
施工面積 | 3,600m2 |
三郷浄水場
工事概要
工事場所 | 東京湾 |
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連壁用途 | 止水壁・山留壁 |
施工概要
壁厚 | 1.2m、1.5m |
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深度 | 45.7~50.7m |
施工面積 | 20,600m2 |
東京電力柏崎刈羽原子力発電所
工事概要
工事場所 | 新潟県 |
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連壁用途 | 仮設土留壁 |
施工概要
壁厚 | 0.9m |
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深度 | 44.5m |
施工面積 | 19.250m2 |
ダム(本体)止水壁
金城ダム
宇奈月ダム
ダム上流仮締切止水壁(宇奈月)